加茂市
戦争被害の状況
戦時下の加茂の木工業
桐箪笥や家具、組子細工など木工の町として知られる加茂市。その発展は、昭和初期に設立された新潟県木工試験場加茂支所で行われた、木工技術の専門的な指導が大きく影響していました。指導を受け、大きく技術力を伸ばした加茂の木工業は県内外に広まり、高い名声を得ることになります。しかし日中戦争勃発後、軍需品の需要が高まったことで、平和産業であった加茂の木工業は苦境に立たされていき、ついには軍需産業へと転換することとなります。さらに太平洋戦争が勃発すると急速に軍需産業へと傾き、加茂の高い木工技術を活かして木製飛行機のプロペラなどが作製されました。このプロペラは現在、加茂市民俗資料館に保存されています。
終戦後、加茂の木工業は復興需要に支えられ、戦前を上回る勢いで成長を遂げていき、今も加茂が誇る産業となっています。しかし、加茂市の木工業が辿ってきた歴史が平和なものだけではなかったことは、痛ましい戦争の記憶とともに忘れてはいけないことです。
