日本非核宣言自治体協議会 National Council of Japan Nuclear Free Local Authorities

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第37回(令和2年度)

日本非核宣言自治体協議会 第37回総会決議

 広島・長崎への原爆投下、そして第二次世界大戦の終結から75年の節目を迎える今年、私たちは新型コロナウイルスという全人類の生命を脅かす新たな脅威に直面している。
新型コロナウイルスで犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、この未曽有のパンデミックの一刻も早い収束に向け、国
際社会が強調し、一丸となって取り組むことを祈念する。
 このような状況の中、先般、核兵器禁止条約の批准国が50か国に達し、来年1月の発効が確定した。これは、被爆者をはじめ、核兵器の廃絶と世界恒久平和を求める市民社会の声が国際世論を後押しした成果であり、「核兵器のない世界」の実現に向けた大きな一歩となると確信している。
 しかしながら、核兵器禁止条約の発効をもって、直ちに核兵器が廃絶されるわけではない。今後、条約を実効性のあるものにするためには 、多くの国が条約に参加し、条約の効果的な運用と発展に向けた議論を進めることが必要であるが、核保有国やその同盟国は核抑止力の必要性を主張し、未だ条約に反対している。
 核兵器は、一旦使用されれば、取返しのつかない甚大な被害を人間や環境に与える。戦争での使用だけでなく、誤って使われたり、テロなどに使われたりする危険をはらんでいる。
 さらには、新しい高性能の核兵器や小型核兵器の開発などにより、核兵器が使用される脅威は現実味を増している。
 75年前の原爆による惨禍を二度と繰り返さないためにも、核保有国とその同盟国は、核抑止力に依存する従来の安全保障政策を見直し、核不拡散条約(NPT)で約束した、核軍縮に誠実に取組むことを強く求める。
 とりわけ唯一の戦争被爆国である日本政府は、北朝鮮による核ミサイル開発などを理由に、核兵器禁止条約と距離を置く姿勢を示しているが、条約が発効する今こそ、核軍縮政策の転機と捉え、条約への署名・批准を目指し、行動していくことを求める。
 核兵器に頼らない安全保障は、我が国と朝鮮半島を非核化することにより実現可能である。私たち日本非核宣言自治体協議会は、北東アジア地域を「核の傘」ではなく「非核の傘」とする「北東アジア非核兵器地帯」の創設について検討することを、引き続き要請する。
 核兵器禁止条約への署名・批准をすぐに実現できないのであれば、条約発効後1年以内に開かれる締約国会議にオブザーバーとして参加し、核保有国と非核保有国の「橋渡し役」として、核軍縮に向けた具体的な議論に参画することを強く求める。
 終戦及び被爆から75年が経過し、戦争体験者や被爆者のいない時代が近づいている中、戦争・被爆体験を継承することの重要性がますます高まっている。本協議会は、引き続き多くの自治体と連帯の輪を広げ、戦争・被爆体験の継承に尽力するとともに、住民が安心して暮らしていける地域社会の実現に向けて粘り強い取り組みを続けていくことをここに決議する。

 

                                                                                                                      2020(令和2)年11月20日
                                         日本非核宣言自治体協議会